バックオフィスSaaS
源泉所得税の納期の特例:納付を年2回にまとめる条件と申請の手順

結論
役員報酬や給与を支払う法人は、源泉徴収した所得税と復興特別所得税を、原則として支払った月の翌月10日までに納めます。毎月の作業です。
ただし、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、申請をすると、納付を年2回にまとめられます。これが「納期の特例」です。国税庁の資料は、対象を「源泉徴収義務者」としています。申請書の提出時期に決まりはありませんが、適用が始まるのは提出した月の翌月に支払う給与からです。提出した月に支払った分は、これまでどおり翌月10日までに納めます。
以下は、2026年10月9日時点で、国税庁のタックスアンサー No.2505(令和8年4月1日現在法令等)と、手続の案内「A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」を確認した内容です。
原則:支払った月の翌月10日まで
国税庁のタックスアンサー No.2505 は、源泉徴収した所得税と復興特別所得税について、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければならないとしています。
同じページによると、令和9年分以後は、所得税・復興特別所得税に防衛特別所得税が加わります。この記事では、以下まとめて「源泉所得税」と書きます。
納期の特例でまとめられるもの
タックスアンサー No.2505 は、特例の対象を次のものに限っています。
- 給与や退職金から源泉徴収をした所得税と復興特別所得税
- 税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税と復興特別所得税
これ以外の支払いから源泉徴収をした税は、特例の対象として挙げられていません。対象に入るかどうか迷う支払いがあるときは、所轄の税務署に確かめてください。
特例の適用を受けたときの納付期限は、次のとおりです。
| 源泉徴収した時期 | 納付期限 |
|---|---|
| 1月から6月まで | 7月10日 |
| 7月から12月まで | 翌年1月20日 |
納付期限が日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たる場合は、その休日明けの日が納付期限になります。
申請の手順
国税庁の手続の案内「A2-8」によると、手続きは次のとおりです。
- 対象者:給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者で、納期の特例の適用を受けようとする者。
- 提出時期:特に定められていません。原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。
- 提出方法:e-Taxソフト(WEB版)または e-Taxソフトで申請書を作成して提出します。書面で作成する場合は、提出先に持参するか送付します。e-Tax を初めて使う場合は、利用者識別番号の取得が必要です。
- 提出先:給与支払事務所等の所在地の所轄税務署。
- 税務署の窓口:受付時間は9時から15時までです。同じページは、令和8年10月1日から、全ての税務署で総合窓口の受付時間を原則として午前9時から午後3時までとしたと案内しています。受付時間外でも、開庁時間内(8時30分から17時まで)に来署すれば各種手続を利用できますが、可能な限り受付時間内に来署するよう求めています。土曜日、日曜日、祝日と年末年始(12月29日から1月3日)は執務を行っていません。
申請書の様式と記載要領は、同じページに PDF で掲載されています。
いつから年2回になるのか
申請書を提出した月の翌月末日までに、税務署長から承認または却下の通知がなければ、その翌月末日に承認があったものとされ、申請の翌々月の納付分から特例が適用されます(手続の案内 A2-8 の備考)。起点は承認の日ではなく、申請書を提出した月です。提出した月の翌月に支払う給与等から、特例の対象になります。
間違えやすいのは、提出した月に支払った給与の分です。タックスアンサー No.2505 は、申請書を2月中に提出した場合の例を、次のように示しています。
| 給与等を支給した月 | 納付期限 |
|---|---|
| 2月支給分 | 3月10日 |
| 3月から6月支給分 | 7月10日 |
提出した月の支給分は、特例の対象になりません。翌月10日までに、これまでどおり納めます。
人数が増えたとき
給与の支給人員が常時10人以上になり、特例の要件に該当しなくなった場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出する必要があります(タックスアンサー No.2505)。届出書を提出すると、提出した日の属する納期の特例の期間から、承認の効力が失われます。
同じページは、届出書を3月中に提出した場合の例として、1月から2月の支給分と3月の支給分はどちらも4月10日、4月以後の支給分は翌月10日が納付期限になると示しています。この例では、1月から2月分には納期特例分の徴収高計算書を、3月分以降には一般分(毎月納付用)の徴収高計算書を使うと注記されています。
運営者の視点
当媒体の運営者である Blue Aegis株式会社について、納期の特例の申請に関する記録は当媒体の台帳にありません。このため、申請した体験は書いていません。
当媒体は、役員だけの小さな法人では、この特例を検討する価値があると考えています。理由は、納付の作業が毎月から年2回に減り、経理の担当者がいない会社でも期限を管理しやすくなるからです。
一方で、注意も必要だと考えています。理由は2つあります。1つは、半年分をまとめて納めるため、1回の納付額が毎月の納付より大きくなることです。源泉徴収した税は会社のお金ではないので、支払いのたびに別に取り分けておく方が安全です。もう1つは、納付の間隔が半年あくため、期限そのものを忘れやすくなることです。7月10日と1月20日は、申請した時点で予定表に入れておくことをおすすめします。
まとめ
- 源泉所得税は、原則として給与などを支払った月の翌月10日までに納める。
- 給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、申請すると、1月から6月分を7月10日、7月から12月分を翌年1月20日に納められる。
- 対象は、給与・退職金と、税理士・弁護士・司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした税に限られる。
- 申請書は給与支払事務所等の所在地の所轄税務署に提出する。提出した月の支給分は翌月10日までに納め、翌月の支給分から特例が適用される。
個別の判断が必要な場合は、顧問税理士または所轄の税務署にご相談ください。
一次出典
- 国税庁「タックスアンサー No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例(令和8年4月1日現在法令等)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2505.htm - 国税庁「A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm
本記事は公表資料と運営者の確認できた範囲に基づく整理であり、法的・税務的な助言ではありません。料金・仕様は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各社の公式情報をご確認ください。