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初めての年末調整:役員だけの小さな法人がやることと、令和8年分で変わった点

2026-10-10 年末調整・源泉所得税・法人設立・経理

手書きの数式が書かれた紙の上に置かれた、関数電卓とシャープペンシル
写真:Aaron Lefler(Unsplash)

結論

年末調整は、毎月の給与から源泉徴収をした税額の1年間の合計と、その人が1年間に納めるべき税額との差を精算する手続きです。国税庁のタックスアンサー No.2665 は、対象を「役員または使用人」の給与としています。年末調整を行うのは、給与の支払者です。つまり、支払っている給与が役員報酬だけの法人でも、その役員が対象となる人に当たれば、会社が年末調整を行うことになります。

行う時期は、その年の最後に給与を支払う時で、通常は12月です。やることは、申告書を受け取って控除額を確かめる、1年間の税額を計算する、差額を還付または徴収して納付書に書く、の3つです。

令和8年分は、基礎控除の引上げなどの改正があります。国税庁は、令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じず、12月に行う年末調整で精算するとしています。

以下は、2026年10月10日時点で、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」と、タックスアンサー No.2665・No.2505(どちらも令和8年4月1日現在法令等)を確認した内容です。

役員も対象年末調整は、役員または使用人の給与から源泉徴収をした税額を精算する手続き
通常は12月その年の最後に給与を支払う時に行う
2,000万円超は対象外本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人は、自分で確定申告をする
国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」、タックスアンサー No.2665 より

年末調整の対象になる人

「令和8年分 年末調整のしかた」は、年末調整を、原則として、給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人の全員について行うとしています。12月に行う年末調整の対象は、1年を通じて勤務している人と、年の中途で就職し、年末まで勤務している人です。

対象にならない人として、同じ資料は次の人などを挙げています。

対象にならない人は、自分で確定申告をして税額を精算します。

役員がほかの会社からも給与を受けている場合は、扶養控除等(異動)申告書をどちらの会社に提出しているかで、扱いが分かれます。この申告書は、原則として、その年の最初に給与の支払を受ける時までに、給与の支払者に提出するものです。まだ提出していない人でも、年末調整を行う時までに申告があれば、その申告に基づいて年末調整を行うとされています。

受け取る申告書

年末調整で控除を受けるための申告書と、それぞれで受けられる控除は、次のとおりです(「令和8年分 年末調整のしかた」8ページ)。

申告書受けられる控除
扶養控除等(異動)申告書扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除
基礎控除申告書基礎控除
配偶者控除等申告書配偶者控除、配偶者特別控除
特定親族特別控除申告書特定親族特別控除
所得金額調整控除申告書所得金額調整控除
保険料控除申告書生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除(申告分)、小規模企業共済等掛金控除(申告分)
住宅借入金等特別控除申告書住宅借入金等特別控除

基礎控除申告書から所得金額調整控除申告書までの4つは、1枚の兼用様式になっています。住宅借入金等特別控除申告書は、税務署から本人に交付されます。それ以外の様式は、国税庁の「年末調整がよくわかるページ」に掲載されています。

扶養控除等(異動)申告書には、本人と源泉控除対象親族などのマイナンバー(個人番号)を記載することとされています。給与の支払者は、本人確認(番号確認と身元確認)を行う必要があります。一定の要件のもとで、記載を省略できる場合があります。

手順

各種控除額の確認扶養控除等(異動)申告書、基礎控除申告書などの兼用様式、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書を受け取り、内容を確かめる
年税額の計算給与と徴収税額の集計、給与所得控除後の給与等の金額の計算、課税給与所得金額の計算、年調年税額の計算
過不足額の精算過納額は還付し、不足額は徴収して納付する
国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」7ページの手順より

国税庁は、源泉徴収簿などを使った年末調整の計算に使える「年末調整計算シート」(Excel)を、「年末調整がよくわかるページ」で提供しています。手順を説明する動画について、同庁は、令和8年分の動画を令和8年10月下旬頃から順次掲載するとしています(2026年10月10日時点)。

令和8年分で変わった点

「令和8年分 年末調整のしかた」3〜4ページは、令和8年度税制改正による変更を次のように示しています。これらの改正は、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。

基礎控除の引上げ。 令和8・9年分の基礎控除額は、合計所得金額に応じて次のとおりです。

合計所得金額改正後(令和8・9年分)改正前(令和8年分)
132万円以下104万円95万円
132万円超 336万円以下104万円88万円
336万円超 489万円以下104万円68万円
489万円超 655万円以下67万円63万円
655万円超 2,350万円以下62万円58万円

合計所得金額が2,350万円を超える場合の基礎控除額に、改正はありません。

給与所得控除の最低保障額の引上げ。 65万円の最低保障額が、74万円に引き上げられました。給与等の収入金額が220万円を超える場合の給与所得控除額に、改正はありません。

扶養親族等の所得要件の改正。 扶養親族、同一生計配偶者などの所得要件が、合計所得金額58万円以下から62万円以下に変わりました。令和8・9年分で収入が給与だけの場合の収入金額では、123万円以下から136万円以下になります。この改正は、令和8年12月1日以後に支払う給与等から適用されます。新たに要件を満たすことになった親族について控除を受けるには、扶養控除等(異動)申告書などの提出が必要です。

年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例。 年齢23歳未満の扶養親族がいる場合、令和8・9年分は、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の控除額の計算が変わります。旧生命保険料と、この特例の適用がある新生命保険料を支払った場合の一般生命保険料控除の適用限度額は、6万円(改正前は4万円)とされました。一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除を合わせた適用限度額は、改正前と同じ12万円です。

毎月の源泉徴収との関係について、国税庁は、令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じないとしています。12月に行う年末調整で、引上げ後の基礎控除額と、「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて1年間の税額を計算し、改正前の源泉徴収税額表で源泉徴収した税額と精算します。

精算した後:納付書の書き方と納付期限

精算をしたら、その内容を、年末調整をした月分の所得税徴収高計算書(納付書)に書いて納付します(「令和8年分 年末調整のしかた」42ページ)。

還付をした結果、納付する税額がなくなった場合でも、所得税徴収高計算書は所轄の税務署に必ず提出します。国税庁は、この場合のデータも e-Tax で送信できるとしています。

納付期限は、原則として、給与を支払った月の翌月10日です。納期の特例の適用を受けている場合は、7月から12月までに源泉徴収をした分の期限が、翌年1月20日になります(タックスアンサー No.2505)。納期の特例の条件と申請は、源泉所得税の納期の特例:納付を年2回にまとめる条件と申請の手順にまとめています。

運営者の視点

当媒体は、役員だけの小さな法人ほど、年末調整の準備を11月のうちに始めた方がよいと考えています。理由は2つあります。

1つは、年末調整は12月の最後の給与の支払いの時に行うため、それまでに、扶養親族や配偶者の所得の見積り、支払った保険料の金額など、申告書に書く内容をそろえておく必要があるからです。役員が1人の会社では、準備を促す役目も自分で担うことになります。

もう1つは、令和8年分は基礎控除や扶養親族等の所得要件が変わっており、前年の書類をなぞるだけでは誤りやすいからです。配偶者や子の収入が、新しい所得要件に当てはまるかどうかを、申告書を書く前に確かめておくことをおすすめします。計算は、国税庁が「効率的に行うことができます」と案内している年末調整計算シートを、まず試す価値があると考えています。理由は、国税庁が令和8年分の年末調整のページで案内している道具だからです。

まとめ

個別の判断が必要な場合は、顧問税理士または所轄の税務署にご相談ください。

一次出典

本記事は公表資料と運営者の確認できた範囲に基づく整理であり、法的・税務的な助言ではありません。料金・仕様は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各社の公式情報をご確認ください。